ネット官報で自己破産情報の検索不可に

官報 ニュース

弁護士石井です。

官報のネット検索について、運用変更が発表されました。

官報ネット検索の変更点

令和7年4月1日から、ネット上の官報情報検索サービスでのテキスト検索に関して大きな変更が予定されているとのことです。
裁判所公告等のプライバシーに配慮が必要な記事が、PDFデータおよびテキストデータともに記事検索の対象から除外されます。

https://search.npb.go.jp/pdf/20241224jokenhenko.pdf

自己破産や個人再生の官報掲載内容について、個人情報保護の視点からテキスト検索ができなくなる見込みです。

この変更は、「破産者マップ」などの問題を受けて、個人情報保護の観点から実施されるものです。プライバシー保護の観点からは望ましい変更といえるでしょう。

2回目の破産申立てへの影響


しかし、この変更により実務上の課題も生じてきます。

特に影響が大きいのは、2回目の破産申立てをする場合です。

神奈川県の裁判所では、破産申立ての際には、過去の破産や個人再生の履歴がある人は決定内容を提出し、決定を受けた時期などの情報を明らかにする必要があります:

これまでは、過去の決定書の原本やコピーを持っていない場合でも、官報検索をすることで必要な情報を特定することができました。
しかし、今後はこの方法が使えなくなりそうです。
決定年月日や官報掲載日を覚えていればそこから画像データは取得できるようですが、ほとんどの人は、何年だったかも覚えていません。

自分の過去の破産・個人再生決定を取得する方法

官報検索ができないにも関わらず、過去に破産歴・個人再生歴がある人が自己破産をする場合には、決定内容の情報を取得してもらう必要があります。

基本的には、決定書類の写しの保管しておいていただくほか、過去に依頼した弁護士事務所があれば、そちらへの確認、以前の裁判所への確認あたりしか方法がなくなるかと思います。
ただし、裁判所でも弁護士事務所でも記録の保存期間があるため、古い案件の場合は正確な情報が入手できない可能性があります。

2回めの自己破産となると、7年以内は免責不許可事由とされていますし、信用情報機関の掲載期間の問題もあり、ほとんどの場合には、7年以上が過ぎています。これくらい経っていると保存期間も過ぎてしまっているわけですね。

このような状況では、正確な情報が不明なまま申立てをしなければならないケースも出てくることが予想されます。裁判所の運用面での配慮が望まれるところですね。

2回めの債務整理、自己破産などない方が望ましいのですが、実際には、相談も多いです。
1回、自己破産したのだから、もうカードとか作るなよ、という意見もあるのですが、私自身、他の分野では同じ間違いを繰り返す経験もあり、人間というのはそういう性質があるのだと感じているところです。

とりあえず、大事な書類は保管しておくようにしましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました