弁護士石井です。
『フローとストック』を読みました。
ビジネス書界隈では有名な『具体と抽象』などを書いている細谷功さんの本です。
『具体と抽象』と同様に思考ツールを紹介してくれる本です。
細谷さんには多数の著書がありますが、思考ツールを提案してくる類の本はオススメです。
本書では、フローとストックというタイトルになっていますが、このコンセプト自体は、過去の著書でも触れられていました。
不可逆性の話の中で、世の中のフローは、ストックになっていくという解説がされていました。
フローとストックという対立自体は新しくないのですが、本書では、具体と抽象の話と合体させて、これらの概念をCAFSマトリックスという形で整理し、ビジネスや日常生活において活用できる方法を提案している点が新しいです。
マトリックスという整理ツールで整理するのが良いのかは置いておいて、
世の中の複雑な現象を理解し、予測するための強力な思考ツールといえます。
具体と抽象の思考ツール
具体と抽象は、具体的な事象から抽象的な法則を導き出したり、抽象的な法則を具体的な事象に当てはめて考える思考方法です。
ビジネス書から成功法則を学び、それを実践に生かす場面は、抽象→具体の考え方。
逆に成功法則を導き出すときには、多数の具体的な事象からパターンを見つけ出して法則化する方法が使われます。
法律の分野でも、具体的な事例に抽象的な法律を適用するので、具体と抽象の考え方はよく使います。
司法試験の論文などでも、この具体と抽象の考え方を意識して書くようにしたら点数が上がりました。
このように、具体と抽象は、往復して考えるのが有効とされます。
フローとストックの思考ツール
フローとストックは、動的な変化(フロー)とその結果としての状態(ストック)を理解するための概念です。この考え方は、経済活動やビジネスプロセスの分析に役立ちます。例えば、企業の収益(フロー)は、その結果としての利益や資産(ストック)に反映されます。
損益計算書と貸借対照表の話です。
物事の事象をパターン化してノウハウにするのもストック化。
マニュアル作りなどもストック化の動きです。
CAFSマトリックスの導入
これらの考えを合体させて整理したのがCAFSマトリックスらしいです。
CAFSマトリックスは、「具体と抽象(横軸)」と「フローとストック(縦軸)」の二軸で構成されるフレームワークです。このマトリックスを使って、事象を4つの象限に分類し、それぞれの関係性と流れを理解します。
流れとしては、具体的なフローから、
抽象的なフロー、
抽象的なフローから抽象的なストック、
抽象的なストックから具体的なストック、
そして、具体的なフローに戻る
というものです。
具体と抽象、フローからストックという話は過去の著書でも触れられていたので、まあ、そうかな、という感想だったのですが、ストックからフローの部分は、新しい視点でした。
ここはリセットとか世代交代、アンラーンなどと表現されています。
しっかりと作られたルールが変わる場合などです。
活用方法とメリット
このマトリックスを使うことで、以下のようなメリットがあります。
過去の事象の整理: 歴史や過去の出来事をCAFSマトリックスに当てはめることで、流れを整理しやすくなります。
未来の予測: 新しい技術やトレンドが出てきたときに、現在の位置を確認し、将来の動きを予測するのに役立ちます。例えば、生成AIやVR技術が今後どのように進展するかを予測する際に有効でしょう。
このマトリックス図は、私の中では図解殿堂入りの1枚となりました。
脳内をスッキリさせたい人は読んでみてください。
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