口座名義人の責任(会社役員の場合)

悪質商法

弁護士石井です。

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会社の役員が、会社名義の預金口座に負う責任の話です。

ロト6詐欺絡みの事件で、東京地裁平成26年1月21日判決が出されています(日弁連消費者問題ニュース159号)。

詐欺の被害者としては、預金口座の名義人に対して損害賠償請求をします。

その口座名義人が会社である場合、会社の代表取締役個人、取締役個人に対しても責任追及することが多いです。

 

このケースでも、そのような責任追及をしたところ、会社役員からは、

・会社は第三者に譲渡した

・会社譲渡に伴い、預金口座も譲渡した

から、詐欺には関係がないとの反論がされています。

 

このような主張に対して、判決では、

・会社名義の預金口座を譲渡すれば犯罪に利用されることは予想しうる

・会社譲渡とは言っても、譲渡代金を受け取らずに口座を渡しており、代表取締役としては不審を抱いてもおかしくない

として、役員に過失を認め、損害賠償義務があるとしています。

 

会社を譲渡する際には、複数の預金口座を作って欲しいと言われていたようで、非常に怪しいケースです。

判決理由を見ると、通常の会社の譲渡とは異なり、口座の譲渡の言い訳として、会社譲渡という理論を持ち出しているだけのようにも感じます。

しかし、この裁判例の論理からすると、会社の取締役という立場の人は、会社が口座を作ってそれを譲渡する際、詐欺に使われそうな場合には、これを止めないと損害賠償義務を負うリスクがあるということです。

 

ロト6詐欺でも振り込め詐欺でも同じですが、口座を利用される詐欺が減らない以上、関係者に対する損害賠償請求は今後も続くでしょう。

気をつけてください!

 
厚木の弁護士事務所 相模川法律事務所

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