弁護士石井です。
何件か誤解した相談者がいたので、記事にしておきます。
個人再生というと、ネットで一部の情報だけを見て、
「借金が5分の1になる」
「借金が100万円になる」
と期待して相談に来る人がいます。
期待どおりに減額できるケースもありますが、使えないケースとして、財産の要件を満たさないケースがあります。
個人再生手続では、清算価値要件といって、財産以上の支払をしないといけません。
借金の5分の1などの基準以外に、財産価値以上の支払をしないといけないというルールがあります。財産価値の方が多い場合には、そちらが最低支払額になります。
この差額が図のように数十万円ならまだ良いのですが、財産価値がすごく高い場合には、個人再生を使っても大して減額にならない、ということがあります。
たとえば、不動産の価値。
不動産については、その価値からローン額を差し引いて算定します。
5~60代あたりの相談者に多いのですが、住宅ローンを頑張って支払って来た場合、住宅ローン残高が少なく、控除できる額が少ないので、不動産の価値が高いというケースが出てきます。
たとえば、不動産が2000万円の価値、住宅ローン残高があと500万円、というケースでは、差額が1500万円あります。これが財産価値に加算されますので、借金が1000万円程度だと、そもそも財産の方が多いことになります。借金は減額されませんし、おそらく再生手続を使うシーンではありません。
また、借金が2000万円という人も、支払額が1500万円以上になるため、なかなか支払が難しくなります。
住宅ローンを組む際に、頭金もなし、まだ数年、という人は、ほとんどがオーバーローン(ローンの方が不動産価値より高い)なので、不動産価値がゼロと評価されます。しかし、長い間、がんばって払ってきた人ほど、この点がネックになることが多いです。
遠方から相談にいらっしゃったのに、相談が数分で終わってしまうこともありますので、誤解なさらぬようにしてください。
コメント