弁護士石井です。
過払い金の請求を消費者金融に対してすると、「借金を返していたのは、契約名義人じゃなくて、他の人だから、過払い金はその人のものだ」という趣旨の反論をされることがあります。
契約者がカードを貸していて第三者が支払っていたり、親が借金をなくそうと一括で返したりしているケースでされる反論です。
実際の運用としては、現実に支払った人が、親や友人などの身近な人であれば、その人も一緒に和解をして過払い金を回収することが多いです。
ただ、そのような和解ができない場合、理論的にどうなるのか考えておかなければなりません。
消費者法ニュース105号で紹介されていた裁判例。
東京地裁平成27年6月27日判決。
貸金業者はアコムです。
契約した名義人が、第三者にカードを貸して、その人が相当部分の入出金をしていたというケースです。
判決では、第三者が入出金をした取引について、第三者が契約者から委託を受けて、契約者の名義で個別の借入れ及び弁済に係る行為をしたものと認められる、と判断しています。
このような理論だと、すべての取引が名義人のものとなりますので、過払い金、すなわち不当利得返還請求権も名義人のものだということになります。
アコム側は、第三者弁済であるとか、過払い金の請求が信義則違反、不法原因給付だと争っていますが、いずれも否定されています。
名義人による過払い金請求が認められています。
実際に返済をしていた第三者が過払い金は自分のものだと主張するなら、名義人との間で精算する話だということになります。
このような理論だと、自分名義の契約であるものの、実際の支払が第三者によってされていたというケースでも、とりあえず消費者金融に対しての過払い金請求は、名義人がすることになるでしょう。
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