弁護士石井です。
任意整理の費用を改定しました。
今までは一件あたり2万円の手数料で対応していたのですが、今後は着手金として同額、支払いに関する合意ができた場合の報酬で同額がかかります。
任意整理は、貸金業者との間で一社一社と交渉し、分割払いの合意をする制度です。
名前の通り、相手が応じるかどうかは、任意なところがあるので、相手方の貸金業者によってはまとまらないこともあります。
そもそもこの任意整理は、弁護士業界が消費者金融に対して、利息制限法で計算した後の元金での分割払いにするという統一基準を作り、消費者問題に関わる弁護士が、この統一基準で話がまとまるよう交渉し続けたことにより機能していた制度です。
しかし、最近、統一基準での分割払いの交渉に応じない貸金業者が増えてきました。
大手貸金業者でも、統一基準での和解を拒絶し、債務者に対して裁判を起こしてくるということも少なくありません。
司法書士や大手事務所の参入により、統一基準が守られなくなったのではないかと感じています。
過去にも、武富士など、統一基準での和解を拒絶する業者はいましたが、時間をかけて交渉することで決算期に話がまとまりやすくなることもありました。
しかし、この3月でも統一基準での分割払いの提案を拒絶する業者もあり、もはや和解不能と判断せざるを得ない業者も増えています。
そのため、任意整理における交渉は、数年前と比べて、はるかに成功率が下がっており、手数料というよりは、着手金と報酬に分けるべき性質のものになってきたと考えました。
弁護士側の負担も相当に増えているため、今回の改定をしました。
これまでは、おそらく、件数によっては法テラスよりも安い金額で対応していましたが、現状ではそのような費用体系で任意整理業務を続けることは難しいと判断しました。
個人的な考えとしては、もはや任意整理については、全くオススメできない方法となり、個人再生や自己破産が使えないケースでやむなく使う選択肢だと思います。
任意整理では、債務の減額効果はないので、支払い額は高額になることが多く、他の事務所で任意整理をして、支払いができなくなり、個人再生が自己破産の依頼を受けるということも増えています。
最初からそのような手続きをとればよかったのではないかと感じることも多いです。
また、上記のように、合意ができない業者が含まれると、一部の債権者には支払いを続け、他の債権者は支払を留保し続ける(相手が交渉に応じるのを待つ)ということも増え、後に、法的な手続をとった場合に、この不公平さが問題になるリスクもあります。
再生や自己破産では、原則としてすべての債権者平等に扱わなければならないので、職場からの借り入れや車のローンなどがあり、そのような法的な方法が取れない場合にのみ、やむなく使う制度ではないかと思います。
その際にも、徐々に支払いの合意ができる可能性は下がっていくと思います。
現時点で、クレジットカード会社については、任意整理で解決しやすいですが、これもいつまで続くかわかりません。
コメント