社外秘・営業秘密資料の証拠提出と訴訟記録閲覧制限の申立

秘密 会社の相談

弁護士石井です。

企業や会社の裁判では、証拠で出す資料が社外秘や営業秘密のこともあります。

秘密

民事裁判記録は公開されているので、このような資料をライバル会社に閲覧されると困るということもあります。

そのようなときには、営業秘密として、訴訟記録閲覧等制限の申立をします。

 

民事訴訟法
第九十二条 次に掲げる事由につき疎明があった場合には、裁判所は、当該当事者の申立てにより、決定で、当該訴訟記録中当該秘密が記載され、又は記録された部分の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製(以下「秘密記載部分の閲覧等」という。)の請求をすることができる者を当事者に限ることができる。
一 訴訟記録中に当事者の私生活についての重大な秘密が記載され、又は記録されており、かつ、第三者が秘密記載部分の閲覧等を行うことにより、その当事者が社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがあること。
二 訴訟記録中に当事者が保有する営業秘密(不正競争防止法第二条第六項に規定する営業秘密をいう。第百三十二条の二第一項第三号及び第二項において同じ。)が記載され、又は記録されていること。

 

この2号の「営業秘密」にあたるかどうかが争われることもあります。

 

これが争われた裁判例を紹介します。

 

今回のケースでは、地方裁判所では営業秘密ではないと否定して申立を却下しています。
これに即時抗告をし、高等裁判所では、営業秘密として認められました。

 

どんな書類だったのかというと、「 希望退職者の募集要領及びその説明、部署の新設とその職務内容、従業員の氏名を含む組織図・各部署の職務分掌、品質保証・品質教育業務等を内容とするもの」ということです。

企業の戦略に関わるものということですね。

 

高裁の決定を見る限り、普通に考えれば、営業秘密のように感じるのですが、原審では、不正競争防止法の有用性を欠くとして却下されています。
最初の 訴訟記録閲覧等制限の申立の段階で、不正競争防止法の要件を満たすということをしっかり出しておかないと、こういう決定が出てしまうリスクがありますね。

お気をつけください。

 

東京高等裁判所決定平成27年9月14日

一(1) 別紙閲覧等制限目録記載二の各部分は、抗告人における希望退職者の募集要領及びその説明、部署の新設とその職務内容、従業員の氏名を含む組織図・各部署の職務分掌、品質保証・品質教育業務等を内容とするものであり、品質の維持管理等を行う品質環境分野における人員体制や戦略に関わるものであるところ、抗告人は、これらの情報について、「(秘)」、「社外秘」あるいは「転送・コピー厳禁」等の表示を付して社外への公表を禁止しているものである。
そうすると、これらの情報は、一応、不正競争防止法二条六項の事業活動に有用な営業上の情報であって、抗告人において、秘密として管理され、公然と知られていないものであることが認められる。
したがって、別紙閲覧等制限目録記載二の各部分は、一応、民訴法九二条一項二号の「営業秘密」が記載されているものと認められる。

 
厚木の弁護士事務所 相模川法律事務所

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