倒産寸前から乗り切るノウハウ

倒産寸前 会社の相談

弁護士石井です。

今日は、自営業者や中小企業の経営者向けの本。

 

倒産寸前

『倒産寸前から25の修羅場を乗り切った社長の全ノウハウ』

赤字だった子会社の社長になり、25年連続黒字化したノウハウを紹介してくれる本です。

25の修羅場というタイトルは釣りっぽいです。

 

昨年、『破天荒フェニックス』というオンワードの再建の本を読んだのですが、そっちの方が修羅場だらけっぽい印象でした。

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今回の本の修羅場は、
社長になった当初、大赤字だった
従業員の離反
為替変動による損失
契約打ち切り
個人保証
あたりの話です。

赤字の解消について、従業員への教育などの話もあるのですが、
この会社自体が輸入産業だったので、円高によって業績回復という点が大きかったようです。

逆に円安時に修羅場になるという。

個人的には、そのあたりの話よりも、財務面での話が参考になりました。

ここから3つほどノウハウを取り上げます。

 

1 決算期の設定

この会社は3月決算から12月決算に変えて財務面が改善したらしいです。
取引先との関係で、3月にやたらと受注が増えていたそうです。
そうすると、3月に多額の売上が発生し、売掛金の回収前に、5月の法人税支払が来るということで、
キャッシュフローが厳しくなるそう。

こういう時期を決算期にしてはいけないとのこと。

むしろ利益が一番出る月を第一四半期に持ってくるほうがキャッシュフローのコントロールがしやすいそうです。

会社の場合、決算期は自由に決められるので、なんとなく3月決算にしている会社は再検討してみると、キャッシュフローが良くなるかもしれません。

 

2 黒字にこだわる

ノウハウというより、心構えかも知れませんが、とにかく黒字にこだわること。

業績悪化の原因というのは外部じゃなくて会社の内部にあるそう。
赤字は犯罪であると言い切っています。
赤字になってしまうと雇用の不安を引き起こしてしまうため、黒字を死守すること。
だから、25年連続黒字なんですね。

P/LとB/S。
損益計算書と貸借対象表では、
まずP/L、損益計算書を改善すべきとのことです。

損益計算書の改善では、当然ながら、
売上を伸ばす
経費を削減する
点がポイントになります。

ただ、無理な営業をしていくと売掛金で売上は上がっているものの、回収できなかったりして、長期の滞留売掛金になってしまう。
そういうものは避けようという話です。
売掛金の回収、管理はしっかり実態に合わせてすべきでしょう。

そもそもそのような売掛金が無駄に発生しないような仕組みを作りましょうとのことです。

値上げなど利益改善の話もされています。

 

3 金融機関との付き合い

手元資金があっても銀行から融資を受けておきましょうとのこと。

銀行との付き合いがないと、借りたいときに借りられなくなってしまい困る。
リスクヘッジの視点から経営者としては余裕があっても借り入れをしておこうとのこと。

無借金経営より、「実質的に」無借金の方が良いとされています。
リスクヘッジの観点からは、一つの銀行だけ取引をするのではなく、
複数の金融機関とパイプを持っておきましょう。

個人保証の修羅場という点からすると、
経営が改善してきたら、経営者保証ガイドラインの基準などをチェックして、個人保証を外してもらうよう努力すべきともされています。

個人的にもいろいろと参考になった一冊です。

 

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倒産寸前の経営者の方はチェックしてみてください。

倒産寸前ではなく、まさに倒産状態になってしまった場合には、弁護士にご相談を。

 
厚木の弁護士事務所 相模川法律事務所

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