改正後法定利率の適用について

この春の債権法改正により、法定利率にが変動制に移行しました。
法定利率とは、当事者間に取り決めのない場合の利率を定めたものであり、遅延損害金などで使用されることもあります。
変動制といっても、3年毎に見直されるため、当面は3%となります。
短期的には、年5%から年3%への引き下げと見ることもできるでしょう。

当面の間は、新旧どちらの法定利率が適用されるかにより年利が2%変わることとなります。
その判断については、若干複雑になっていますので、以下で解説してみたいと思います。

利息について

利息については民法404条1項が「利息が生じた最初の時点における法定利率による」と定めています。
基本的には貸付けの時点から利息が生じますので(民法589条2項)、貸付け時の法定利率が適用されることになります。

遅延損害金について

遅延損害金については民法419条1項が「遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率に」よると定めています。
遅滞の責任を負うとは、要するに滞納が始まったときということです。
返済期限があれば返済期限を過ぎたとき、返済期限がなければ返還を請求したときの法定利率が適用されます。
不法行為の場合には不法行為時が、契約解除に伴う代金等の返還については受領時の法定利率が適用されます。

実務上の注意点

契約に基づく債権の場合には、同一の契約であっても契約時、受領時、滞納時といった基準時を使い分けることとなります。
使い分けのルール事態は、条文に明記されており、丁寧に確認すれば難しくはありません。
しかし、改正前の契約ということだけ確認し、改正前の法定利率と思い込んでしまうと判断を誤ることになります。

また、法定利率は3年ごとに見直しとなりますので、3年後毎に同じ問題が生じる可能性があります。

 

弁護士 坂本 学

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