弁護士の香崎です。
昔見た、ある刑事裁判でのことです。
罪名は詐欺罪。ある女性が、お金がほとんどないのにホストクラブで豪遊し、
支払いができず、詐欺罪に問われたものでした。
私がこれを傍聴していた時は、彼女の接待をしたというホストの男性が、検
察側の証人として出廷し、証人尋問が行われているところでした。
被害額は、50万円超(!)だったようです。一晩でです。
事件当日は、ホストの彼が店外で彼女と待ち合わせて、一緒に買物等した
後、入店したということで、いわゆる「同伴」での来店でした。
こういう場合、彼女が支払えないと、担当ホストの彼が立替えで負担すると
いうことです。
しかし、50万円超のつけを負わされたホストの彼は、質問には淡々と答え、
接待時と同じように被告人の女性を「まやちゃん」と呼び、決して彼女を責め
るようなことは口にしませんでした。
もっとも、彼は事件発生当時、途中から泥酔状態になり店の裏で寝ていた
ということで、その後彼女が所持金がなく、クレジットカード払いも他人から
の借用等も全くできないことが判明し、店長も出てきて騒ぎになったことも、
彼自身はほとんど覚えていませんでした。ううむ、何て大らかなホストだ。
そして、検察官による尋問の終わり近くに、今被告人に対してどう思うかと
いう質問をされて、彼は答えました。よかったらまたお店に来て欲しい、と。
すごい、何と寛大でサービス精神旺盛なんだ! そして、罪を憎んで人を
憎まず!
あなたはホストの鏡だ!!
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