弁護士石井です。
テレビや雑誌でも消費税増税に関する情報が出てきました。
移行期では、契約の内容によって、何パーセントの税率になるのか変わってきます。
消費者も事業者もこの点を意識しないといけません。
今の予定では、平成26年4月1日から8パーセントに引き上げられます。
まだ先だと思うかもしれませんが、建物建築などの請負契約の場合、平成25年9月が一つの基準になります。
半年後という近い未来です。
請負契約で、何パーセントの消費税になるかは、引き渡し時期が基準になります。
建物建築工事では、工事を終わらせて注文者に引き渡した時期に、何パーセントの消費税が適用されているのかどうかが問題になるのです。
今の予定では、平成26年4月1日から8パーセント。
その前に引き渡しをすれば、5パーセントです。
引き渡しが4月1日なら原則8パーセントです。
ただ、8パーセントには経過措置という例外があります。
これが先ほどの基準である平成25年9月。
平成25年9月末日までに請負契約をすれば、引き渡しが平成26年4月になっても、5パーセントでOK、という経過措置です。
消費税アップ前には駆け込み需要があるとも言われていますが、まず、平成25年9月中に請負契約の駆け込み需要が発生する可能性があります。
注文者側からの需要のほかに、建築業者側から、「9月中に契約をしてくれれば5パーセント」という勧誘がされる可能性も高いです。
平成26年3月末までに引渡をしたい、受けたい、というニーズは高いでしょうから、その時期には、工事が混み引渡が遅れる可能性が高いです。
震災の復興現場でもみられるように、今、建築業者は忙しい状態にあります。
ということは、平成26年3月の引渡をあきらめて、とりあえず平成25年9月までに契約をし、5パーセントの税率を適用させるという動きが出てくるでしょう。
以上をまとめます。
平成26年3月までに引き渡す工事 → 5パーセント
平成25年9月末までの契約、平成26年4月以降に引き渡す工事 → 5パーセント
平成25年10月以降の契約、平成26年4月以降に引き渡す工事 → 8パーセント
このような税率の変化があるので、平成25年9月までに契約、という動きが出てきます。
そこで気をつけるべき点があります。
平成25年9月中に請負契約をしても、その後に工事内容を変更して、請負代金が増額された場合、
増額部分については、原則引渡時の消費税率となります。
1 平成25年9月に1000万円の請負契約
2 平成25年10月に追加工事など500万円の請負代金増額
いずれも税抜き、平成26年4月以降の引渡
という場合、
1の契約には5パーセントの50万円
2の契約には、8パーセントの40万円
の合計90万円の消費税がかかります。
最初から追加工事代金も含めて1500万円の請負契約をしていた場合、
1、2とも5パーセントの75万円の消費税となります。
その差が15万円。
あとから変更ではなく、最初から工事内容を詰めておけば、15万円はかからなかった。
このように、平成25年9月末を境に、工事代金の変更でも消費税率に大きな影響があります。
建築業者としては、工事代金と消費税の内訳を明示するとともに、平成25年10月以降に請負代金を変更した場合の消費税率についても、後々に問題になるのを避けるために、あらかじめ説明しておいた方が無難です。
契約相手を動かすには、心理戦です!
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