弁護士石井です。
成年後見や相続など家事事件では、銀行とかかわることが多いです。
金融機関側も大変らしく、銀行に向けた本が出されています。
成年後見事件では、後見人が選ばれた後は、本人の財産管理権は、後見人が持ちます。
銀行預金口座からの出金も後見人に権限があるのです。
成年後見人が選ばれても、銀行はその事実を知らない場合があります。
そのため、通常は、成年後見人が銀行に届出をします。
これをしておかないと、成年後見人としては、本人が勝手におろしてしまうリスクを抱えることになるのです。
そのような届出をしたにもかかわらず、本人が銀行の窓口に行き、預金の払戻請求をした場合、銀行としてどう対応すればよいか、という問題が取り上げられていました。
これは、応じちゃだめでしょう。
いったい何のための成年後見の届出なのか分からなくなります。
本の中でも、本人からの払戻し請求に応じた場合には、二重払いのリスクがあるから、後見人に払うのが望ましいと解説されています。
理論上は、本人は、日用品などを購入する能力はあるとされていますので、そのための払戻し請求であれば法的に取り消せない可能性もあります。ただ、何に使ったのかまで銀行で証明することは難しく、応じるのは危険でしょう。
銀行にこのような対応をしてもらうためには、成年後見人は、銀行に後見の届出をしておく必要があります。
専門家であればともかく、それ以外の家族等が後見人になった場合、この届出がされていないケースがよくあります。これは危ない対応ですので、しっかり届出をするようにしてください。
Q&A家事事件と銀行実務―成年後見・高齢者・相続・遺言・離婚・未成年 | |
斎藤 輝夫(監修) 田子 真也(監修)
日本加除出版 2013-10-07 |
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