破産管財人協議会と銀行明細

協議会イメージ 借金問題

弁護士石井です。

先日、横浜地方裁判所で開催された破産管財人協議会に参加してきました。

横浜地裁の13階にある大会議室で行われる会議です。

最近は、Zoom以外の研修も会議も参加していないので、新鮮でした。

テーマの大部分が、破産手続のデジタル化だったので、最後まで耐えられました。

目次

  1. 破産手続きに必要な銀行明細
  2. 通帳がない場合の対応方法
  3. スマートフォンのスクリーンショットについて
  4. 推奨される明細の取得方法
  5. 書類準備の重要性

1. 破産手続きに必要な銀行明細

破産手続きでは、申立人の資産状況を正確に把握するために、銀行取引明細が必要不可欠な書類となっています。

神奈川県では、過去2年分の明細を出します。

そこで財産や負債に申告漏れがないか、借入の経緯などを確認する意味もあります。

2. 通帳がない場合の対応方法

紙の通帳がある銀行の場合には、2年分の通帳のコピーを提出します。

しかし、最近では、インターネットバンキングの普及により、紙の通帳を持たない方が増えています。

その場合は、取引データを印刷して提出する必要があります。

3. スマートフォンのスクリーンショットについて

取引データは、銀行に申請して発行してもらったものから、ダウンロードしたPDF、csvなどのファイルを印刷したものの提出が考えられます。

裁判所によっては、csvファイルの印刷を提出したところ、加工されたリスクも考え、PDF印刷も出すように指示されたことがあります。

このようなファイル以外に、スマホのスクリーンショットを印刷したものを大量に提出してくる人もいます。ただ、これは、基本的に避けた方が良いという話がありました。

大量の画像データとなり、提出・取りまとめも、裁判所での確認作業も非効率とされます。紙の無駄になるため、近いところで、公式に非推奨とされそうです。

4. 推奨される明細の取得方法

基本的には、以下のいずれかの方法で明細を準備することになります。

  1. インターネットバンキングからのデータ取得(PDF形式推奨)
  2. 銀行窓口での紙の明細取得

打ち合わせの中で、パソコンも持っておらず、スマホアプリでしかログインできない人がいました。アプリからはデータのダウンロードができないという人もいました。

結局は、アプリからのログインではなく、ブラウザを使ってログインし、ダウンロードせよ、ログインできなければ、パスワードなどの再発行などしっかりするか、紙を取り寄せよ、ということになりそうです。

そのため、ネットバンキングを開設する際には、アプリだけでログイン情報を管理するのではなく、ブラウザからもログインできる情報をしっかり保管しておくようにしましょう。

5. 書類準備の重要性

自己破産では、適切な書類が準備できない場合、手続きが進められず、申立人にとって不利益となる可能性があります。

書類の準備ができないと言われてしまうと、申立書は作成できず、時間が過ぎていき、債権者から裁判を起こされたり、給料を差し押さえられたり、申立ができても、時間がかかったことを理由に管財事件にされる事案もあります。

弁護士に辞任されてしまうリスクも出てきます。

公的な手続きを使おうとする以上、必要な書類は、早めに準備を始めることをお勧めします。

まとめ

破産手続きを円滑に進めるためには、適切な形式での銀行取引明細の提出が重要です。

破産管財人協議会では、他にも、打ち合わせや債権者集会などの今後のデジタル化の話題も出ていました。効率化できると良いと思いつつ、アナログ派の意見も意外に多かったです。

なお、協議会終了後、13階から階段で降りたら、目が回りかけました。

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