相続財産を受領した単純承認を錯誤として、相続放棄を認めた事例

弁護士石井です。

最近朝3時起きだったのに、先輩の結婚パーティーに行ったら、3時まで飲むことになり、体内時計が完全におかしくなっています。

さて、今回は、相続放棄と単純承認の錯誤についての話。

相続放棄は、財産も借金もすべて放棄するという制度で、家庭裁判所を利用した手続です。

この相続放棄をする前に、何かの財産を相続してしまうと、すべての財産を相続することに承認したものとみなされてしまい、相続放棄はできなくなります。

単純に承認したものとされるのです。

相続放棄をする可能性がある場合(多くは、借金がありそうな場合)には、財産を相続する前に、しっかり調査する必要があります。

調査している間に、相続人としての行動(相続財産を受け取ったり、名義を変更したり)をしてはいけません。

このように、相続人としての行動・単純承認をすると、普通は、あとから相続放棄はできません。

しかし、例外的にこれを認めた裁判例もあります。

高松高裁平成20年3月5日決定では、相続人の預貯金口座を解約、出資証券の払戻、共済契約の名義変更などをしていたにもかかわらず、これを錯誤だとして、あとから相続放棄を認めることとしました。

このケースでは、借金がありそうな金融期間に対して、「借金があるか?」と質問をした際に、その金融機関から「ない」と回答されていました。
それにもかかわらず、実は借金があったというケースです。

相続人としては、やるべき調査をしたにもかかわらず、借金の存在に気づけなかった、
金融機関側も故意なのか過失なのか、間違った回答をした
という事情を考慮して、例外的に単純承認を錯誤として処理し、相続放棄を認めたのでしょう。

最初からこのような判断をしてもらえると期待するのは危険ですが、
やるべき調査をしても気づけなかったという事情がある場合で、相続放棄を認めてもらいたい場合には、この裁判例を思い出しましょう。

厚木の弁護士事務所-厚木の弁護士

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