弁護士石井です。
以前に、マイホームを建てたという友人の家に遊びに行って来ました。
家を建てていく段階で、当初の予定とはかなり違った作りになったそうです。
家のように、大きな買い物で、実際に建て始めてみて色々とイメージが出てくるものの場合、当初の予定とは異なり、色々と追加したくなります。
追加工事の問題です。
家の建築以外にも、お店の内装などでも追加工事はよくあります。
この追加工事が、法的に問題になることが多いです。
よくあるのが、もともとの工事と、追加工事の境目がはっきりしないケース。
注文書や契約書など書類上でハッキリさせずに口頭で工事を進めたりすると、あとで問題になります。
「これは、もともとの工事でしょう?」
「別に費用がかかると言ったじゃないですか」
という争いをよく見かけます。
もともとの請負契約と、追加工事の請負契約は、法的には別契約。
ただ、それぞれの射程範囲が問題になってしまうのです。
何が対象なのか、書面で明らかにするようにしておきたいもの。
書面上明らかでない場合には、工事に関するやりとりの記録は捨てないようにしましょう。
また、見積もりの効力が問題にされたケースもあります。
もともとの請負契約で、「10%値引きします」という見積書を出して、この額で契約が成立している場合。
この工事に、追加工事がされた場合、追加工事の代金も10%値引きされるべきだという主張がされることがあります。
それぞれの契約の解釈とあわせて、見積書の解釈が問題にされるケースです。
多くの場合、もともとの請負契約と追加工事の請負契約は別契約であり、もともとの契約についての減額の見積書の効力は、その契約についてのみ及ぶ、後からの追加工事の契約については効力が及ばないとされるでしょう。
もっとも、追加工事の注文の際に、この見積書の効力を前提とするようなやりとりがあれば、別です。
この場合、追加工事の契約の解釈として、代金を減額するという意思があったかどうかを検討することになるからです。
このような紛争にならないためにも、面倒でも契約書や注文書などで契約内容を特定しておくべきなのですね。
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