請負代金の返還請求と循環取引

民事

弁護士石井です。

請負代金返還請求をしたものの、循環取引であるとして請求が棄却された裁判例。

名古屋高裁平成12年12月7日判決。

 

建物新築工事について、

A→X→Y→Aと、下請発注が繰り返された事案です。

Aが工事に着工せず破産したことから、X→Yに対して支払済みの請負代金の返還を求めたというものです。

Xによる注文書、Yによる注文請書が証拠として提出されていました。

判決では、これらの書類をもとに、形式的には請負契約が成立しているものの、その実質を見ていくと、循環取引であり、その目的は、Aへの融資であったとし、工事の施工の有無が契約の本質的な要素にはならないとして、契約解除はできないと判断しました。

請負契約の認定の話で、形式的な書面ではなく、実質を見ていった判断です。

 

本件循環取引に介入した控訴人及び被控訴人は、前原の新築工事に関する作業等を一切予定しておらす、ヘイダに融資する目的で、約束手形を交付する原因として、ヘイダ、控訴人及び被控訴人の二者間において循環した、請負契約の形式を取ることにしたものであり、右三者間では、当初から、ヘイダが岩永組から請け負った前原の新築工事をヘイダのみが自ら施工し、その請負工事代金をもって、ヘイダが控訴人に振り出した約束手形を満期日に決済して、控訴人及び被控訴人のヘイダに対する金融の決済を完結することを予定したものであり、この間の事情は、右三者とも了知していた。

 

本件循環取引において、ヘイダが倒産することによって生じる危険は、結果として本件契約を締結した控訴人において負担することを受認していたものというべきであって、ヘイダか、前原の新築工事を施工したか否かは、ヘイダが予定どおり控訴人及び被控訴人から受けた金融の供与に対しその決済を実行しうるか否かにかかるものであったに過ぎず、請負契約の内容である前原の新築工事の施工の有無が本件契約の本質的な要素になるということはできないというべきである。

 
厚木の弁護士事務所 相模川法律事務所

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