弁護士石井です。
今年は、やたらと国選の刑事事件が多い気がします。
事務所にいる時間が多いからでしょうか。
2週間ほど前、ホームレスの方の刑事事件で、裁判が開かれたのですが、
法廷では被告人がマスクをしていませんでした。
裁判官もそのまま進めるので、検察官の証拠調べ、弁護人の証拠提出、被告人質問と手続きを進めました。
被告人質問で、弁護人である私から、一通り、情状について聞き、被告人も大きな声で回答していました。
弁護人からの質問が終わり、検察官からの反対尋問が始まる、というところで、裁判官が一言。
「あなた、マスクしてませんね?」
いまさらーーー!?
「はい、持ってないので」
ホームレスだし、仕方ないところもあるでしょう。
裁判官は、拘置所の係の人に質問。
「マスクは持ってきていないのですか?」
被告人が持っていない場合には、拘置所で準備するようです。
拘置所の人「忘れました。すみません!」
正直。
「前もあったのですが、忘れられると困るんですよね・・・」
として、書記官に指示。
書記官は、担当係に連絡し、マスクを持ってこさせました。
被告人、いまさら着用。
その後、反対尋問、論告・弁論後の被告人陳述までマスク着用でおこなわれました。
一番、しゃべる被告人質問の主尋問部分はノーマスクでしたが。
マスクをしていないだけで飛行機が止まる時代ですから、裁判所も提供用のマスクの準備があるのですね。
2週間ほど前の話ですので、この件での感染はなかったものと思われます。
なお、刑事裁判で関係者がマスクを着用していて良いのか、弁護士の間でも議論があります。
弁護士がマスクをしていると弁論等を聞き取ってもらいにくい、証人がマスクをつけていると表情が見にくく反対尋問がしにくい、などの意見です。
神奈川県弁護士会では、裁判所に対し、弁護人等から、マスクなしで裁判をやりたいとの申し出があったら、制限しないでね、という意見書を出しているそうです。
コロナ対策と同じで、どうした方が良いのか意見は分かれる問題ですね。
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