弁護士石井です。
競売の入札の際に、年を間違えて書いちゃったケースの裁判例紹介です。
まあ、日付を間違えてしまうことは仕事でもありますよね。
西暦と和暦を混同して、「いま、平成25年だっけ?(2015年)、2017年だっけ?(平成27年)」なんてことはありますし、時には年齢を3年くらい間違えることもあります。
しかし、裁判所を使った手続で、そんな間違いをして致命的になることもあります。
最判平成22年8月25日で問題になったケースです。
不動産の競売で、入札をしました。
その事件は、平成20年(ケ)117号という事件番号が付けられた事件だったのですが、入札の封筒に「平成21年(ケ)117号」と書いてしまったのですね。
1年まちがえた。
その他の開札期日、物件番号は、一致していたものの、事件番号だけが違ったのです。
執行官は、事件番号が違うので、この入札は無効としました。
そこで入札した人は、事件番号の書き間違いくらいいいじゃんと主張して、この競売が無効だと主張したのです(売却許可決定に対する執行抗告)。
最高裁は、他で特定できるんだから、年の間違いくらいいいじゃない、と入札は無効じゃないと判断しました。
「担保不動産競売事件の期間入札において、入札書を封入した封筒に記載された事件番号が、これとともに提出された入札保証金振込証明書に記載されたそれと一致しなくても、次の(1)~(3)の事実関係のもとでは、当該入札が無効であるということはできない。
(1) 上記封筒に記載された開札期日の日時には、年の記載を除き、上記封筒に記載された事件番号と一致する事件番号の担保不動産競売事件の開札期日が指定されていた。
(2) 上記入札保証金振込証明書に記載された事件番号、物件番号および開札期日は、いずれも上記(1)の担保不動産競売事件のそれと一致していた。
(3) 上記封筒に記載された事件番号に対応する担保不動産競売事件の開札期日が上記封筒に記載された開札期日またはこれに近接する日に指定されていたことはうかがわれない。」
結果は良かったものの、最高裁までやっているわけですので、みなさま、書き間違えには注意してくださいね。
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